『場に応じた行動ができる力』

学校前のチェナール(プラタナス和名すずかけの木)は、青々とした葉を茂らせています。そして、花壇のバラは白い花を咲かせました。テヘランの街全体が、春から夏へと変わりつつあるようです。

このチェナールを調べてみますと、夏には葉を茂らせて木陰を作り、冬には葉を落とし暖かな木漏れ日を与えてくれます。こうした人々の季節の暮らしにうまくマッチングするので、チェナールは世界中の街路樹として使われ、愛されています。古代ギリシャの哲学者プラトンや医者ヒポクラテスも、このチェナールの木の下で弟子たちに講義をしていたとされています。そのため、花言葉は「天才」「好奇心」になっています。本校の校章もチェナールであり、設立当時の日本人会の方々の「賢い子に育ってほしい」という願いが込められているように思います。

先日の全校朝会では、このチェナールの木をもとにして子どもたちに「場に応じた行動がとれる子に育ってほしい」という話をしました。本校の子どもたちは授業の時には集中し、休み時間には校庭に出て歳の差関係なく遊びます。私は、こうした生活の中で緩急のある振る舞いができることをとても微笑ましく、また誇らしく感じています。昔から「よく遊び、よく学べ」と言われていますが、小学校高学年になるにつれて、そうした姿勢は自然と身につけていってほしいものです。

これまで多くの保護者の方と話してきましたが、「うちの子は、家ではだらしないんです。大丈夫でしょうか?」という相談はよく受けました。大切なのは子どもにとってオフィシャルな学校でどういう行動をとっているかです。家ではだらしなくても、学校で節度ある行動がとれていれば問題ありません。子どもなりに緩急をつけて、場に応じた行動をしているわけです。大人の我々でもそうではないでしょうか。

しかし、家庭では良い子にしているのに学校ではそうでもないケースは、いささか改善に時間がかかります。時に、保護者と協力体制が取れないケースに発展することも多々あります。子どもの場に応じた行動が逆になっていますが、それをなかなか理解してもらえず、学校の対応が悪いという批判に変化してしまうのです。

入学式での式辞では、必ず保護者に「時には、家で見せるお子様の姿と学校で見せるお子様の姿が異なることもあります。どんな小さなことでも気になることがありましたら、ご相談ください。ともに協力しながら、子どもたちの未来を創っていきましょう」と伝えています。この気持ちは、新入生だけでなく、全学年の子どもたちにも共通です。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ

あそぶときはおもいっきりたのしく、まなぶときはしんけんに。そんなこうどうがとれるあなたたちはすばらしい。おおきくなっても、きもちをうまくコントロールできるひとでぁってほしいとおもいます。

校長室から『場に応じた行動がとれる力』

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