校長室から『メディアの最前線を体験する~朝日新聞記者を招いた授業~』

今週火曜日、4年生は朝日新聞テヘラン支局の佐藤さんを招いて、国語の授業を受けました。国語では、『新聞を作ろう』の学習に入っており、新聞づくり、特に記事を書くノウハウを教えてもらいました。最初に自己紹介された後、実際の新聞記事をもとに、どこに“5W1H”が書いてあるか探す活動でした。5月にメモを取る学習をしており、その際“5W1H”について触れたのですが、新聞記事を使っての確認作業は、子どもたちにとって良い力試しになりました。その後、実際に盗難事案が起こったという想定で、警察署役の佐藤さんが配布された報道資料をもとに、質問を行うという活動をしました。警察署作成の資料には、概要が2行にわたって書いてあるだけです。先に挙げた“5W1H”だけでなく、読者が何を知りたがっているかを考え、質問し、メモを取らなければなりません。「いつ盗まれたのですか?」「そのダイヤの大きさは?」「犯人の行方の手掛かりはありますか?」など、思いつくまま質問していました。事件の概要と読者の志向を想像しながらの対話ですから、相当の思考力が必要な活動でした。佐藤さんは、「今回した活動は、小学生だけでなく、中学生、高校生でもしてほしい内容ですね」と話されていました。全く同感です。

最近、ChatGPTが注目を集めています。ある自治体では、教育委員会から読書感想文にChatGPTを使わないようにという“お達し”が出たそうですが、ChatGPTの出現に、教育界は揺れ始めています。しかし、今後どうなるかは、時代が証明しています。コンピュータが世に出た時、インターネットが普及した時、スマホが身近になった時、その時々で教育界はどう対応しようかと慌てましたが、全て、これらの先端技術を活用した教育に舵を切りました。今回のChatGPTに対しても、それをいかに学びに活用するかという視点を持たなければなりません。“使用禁止”と言っていても、時間とともにあっという間に日常生活に浸透し、生活と切り離せない存在になるでしょうから。

今回の学習の一つでもある新聞記事を書くという活動は、今後、どうなっていくか。そんな視点で見た時、概要を想像し、読者目線を意識し、生身の人間に質問をして深堀していく。そんな地道な活動は、ChatGPTの出現によって、さらに重要視されていくことでしょう。つまり、今回の学習で4年生の子どもたちは試行錯誤しながら質問したように、書きたいものを集めたり(取材)、読み手に伝わる文にしたり(相手意識の文章化)することが、記事の仕上がり具合よりも大切になってくるでしょう。

その意味において、今回していただいた活動は、今からの時代に必要な力を養うものでした。

 

校長室から『メディアの最前線を体験する~朝日新聞記者を招いた授業~』

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