校長室から『持続可能な社会をつくるために~転出児童からのメッセージ~』

本校は9名の児童生徒が在籍していますが、前期終業式を最後に、2名の児童生徒が転出します。学校を引っ張ってくれたリーダーとして活躍し、校内を明るく、優しい雰囲気にしてくれた二人の貢献は大きく、寂しい気持ちでいっぱいです。先日は、その二人が総合的な学習の時間の発表をしてくれました。来月末に学習発表会を開催するのですが、転出する前に二人だけお友達と先生に発表してもらうことになったのです。

それぞれの子どもたちの研究テーマは、『SDGs(持続可能な開発目標)』です。それぞれが自身のこだわりの中で、研究内容、テーマを決めていくのですが、6年生の児童が女性の人権についてまとめていました。身近な生活の中での気づきからテーマを設定し、ここイランでの様子を踏まえて、深めていました。最後は、自身のこれからの生活に見つめ直すなど、非常に聴き応えのある内容でした。先日、岸田総理大臣が国連総会で「人間の尊厳の尊重」という言葉を使って、世界で起きている様々な課題を取り上げておられましたが、人はどうあるべきか、どう生きていくべきかを考えることは、全ての人が考えるテーマです。どの国においても人権課題は存在し、それぞれが死ぬ時まで抱えるテーマなのでしょう。その意味において、総理大臣の演説も、本校6年生児童の研究発表も相通ずるものがありました。

人権と道徳とでは、どんな違いがあるでしょうか。私は、道徳は国や社会によって違い、変化していく社会習慣、決め事のようなものであり、人権は国や社会に関係なく、誰もが等しく受けられる権利であると整理しています。総理大臣が「人間の尊厳の尊重」と評したのは、道徳ではなく人権の関することですし、先日の児童の発表は道徳をもとにして人権に深化させたものでした。それぞれの国の道徳は、当事者である国民が作り上げるものであり、他国からは尊重されるものである一方、人権は国境を越えて人々が協力して築きあげていかなければならないものです。

これから、来月の学習発表会に向けて、『SDGs(持続可能な開発目標)』をテーマにした学習を進めていきますが、国の違いを超越して、世界中に共通して言えることに絞っていく必要があります。どこ国が良くて、どこの国が良くないといった、上から目線の線引きしたような学びにならず、自らの生活を見直す学びにしていきたいと思います。二人が良い見本を見せてくれました。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ

〇〇さんのはっぴょうは、これからのがくしゅうのさんこうになる、すばらしいはっぴょうでした。あといっかげつでまなびをふかめ、このちきゅうがしあわせになるほうほうをかんがえてください。

校長室から『持続可能な社会をつくるために~転出児童からのメッセージ~』

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