校長室から『自らの能力は自分でしか伸ばせない~前期教育課程が終了~』
前期93日の教育課程が終了いたしました。前期は、宿泊学習、運動会などの大きな学校行事がたくさんありました。また、日々の学習も夏休みを挟んで数多くあり、内容豊富な前期でした。4年生児童に前期の感想を聞くと、「長かった」と話してくれました。3学期制の学校から比べると、学期の区切りがなかなか来ない分、長く感じられたのでしょう。
“時間”は、年齢、性別、国や貧富の関係なく、平等に人が持っているものです。そして、1日24時間をどのように使うかは、各個人に委ねられています。自分に与えられた時間をどのように使うかを個人に委ねられているからこそ、自由を実感できるのかもしれません。
子ども達の“時間”について振り返ってみます。子ども達の授業時間は1年間で1,000時間程度です。それに対して、児童生徒の生活時間は、起きている時間を1日16時間で考えると、1年間で5,800時間。つまり、授業時間は全生活時間の17%となります。話はそれますが、ゲームを1日3時間すると1,000時間になり、1年間の授業時間と並びます。
1年間の生活時間である5,800時間をどのように過ごすかは、各児童生徒に委ねられています。学校の先生はその時間を有効活用するようアドバイスしますが、最終的には各自の気持ちの持ちようで決まります。それは、小学1年生であっても、中学3年生であっても同じです。結局のところ、それぞれに等しく与えられた“時間”を自らの意思でうまく使って、自らの能力を自分で伸ばしていくしかないのです。
今日の終業式の校長講話では、各自が成長してきたことを振り返らせ、なぜできなかったことができるようになったのか、なぜ成長できたのかを考えさせました。「友達のおかげ」「おうちの人に励ましてもらった」「先生のアドバイスがあった」などは“外部要因”であり、自分でコントロールできることは少なく、学校や家庭などの周囲の理解と協力、支援が必要です。一方、「あきらめなかった」「何回も繰り返した」「目標を作って挑戦した」など“内的要因”は、自分でコントロールできることであり、この思考ができるかできないかで、時間の有効活用、それに伴う能力の伸長に違いが出てきます。
自分の能力は自分でしか伸ばせません。そのため、まずは生活の中で、自ら考え、判断し、行動できる子に育てていく必要があります。子どもが考える前に指示やアドバイスをしていないか。子どもが判断する前に(それが本当に正解かもわからないのに)正解として伝えていないか。子どもが行動する前に(失敗を恐れて)止めていないか。学期末は、子ども達にこれまでの学習、生活を振り返らせると同時に、我々学校と家庭も、自戒の念を持って振り返らなければなりません。
※参考文献『学校がウソくさい~新時代の教育改造ルール』藤原和博 朝日新聞出版
テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ
ぜんきは、じぶんのちからをじぶんでのばそうとしましたか。あなたのちからは、あなたしかのばすことはできません。こうきもがんばりましょう。