校長室から『日本文化に触れる機会を創る~百人一首大会に向けて~』
本校では、百人一首大会が恒例行事になっています。創立55年の節目に当たり、過去の写真でスライドを作ったのですが、その際に見たアルバムから、この百人一首大会の写真も幾つありました。ルールは少しずつ変わってきているとは思いますが、日本文化に触れるこのような行事が受け継がれていることを嬉しく思います。
先日の集会は、大会に向けてのルール説明を行いました。実際にカルタ取りをやりながら、確認していきました。人数が奇数であったため、私も対戦に加わったのですが、子ども達は朝の時間を使いながら、日頃から取り組んでいるため、みんなよく取れるようになっていました。先生方に聞くと、転校して日の浅い子はなかなか取ることができず、在籍日数が長くなるごとに、強くなるそうです。積み上げる力が必要な競技たる所以でしょう。
こうした日本文化の継承については、国内の学校より日本人学校の方がより強く意識しているように思います。私が過去ソウルに赴任した際、韓国の人と話をすると最初は自国自慢から始まりますが、最後には「日本はどうだい?」とよく問われました。海外にいると、「日本とはどんな国か」、「日本人とはどんなことを大切にするのか」、そして「あなたは何者か」と問われる機会は多くなります。また、問われずとも、それらを自問することも多くなります。そのため、日本人学校では国内以上に日本文化を取り入れた学習が重要ですが、このことを理解し、百人一首大会を続けてきた過去の先輩職員、そしてそれを今も受け継いで実施している本校職員はさすがだと思います。
写真では分かりづらいのですが、畳も相当年季が入っており、受け継がれた畳に座り、頭を突き合わせてカルタとにらめっこする姿は、日本文化の継承の何物でもありません。今年度は12月のブレ大会、1月の本大会と2回行われます。どちらも、子ども達の白熱した対戦を楽しみにしています。
ちなみに、ソウル日本人学校勤務時代、日韓交流でカルタ取りをした際、文化の違いを痛烈に感じたことがあります。日本ではカルタをとるルールとして、左記に触った人に権利があります。また、それを受け入れることが、“潔し”とされています。しかし、そのルールを説明したにもかかわらず、韓国の子ども達は先に取った日本人の子どものカルタを奪っていました。韓国の子ども達にとって、“取る”とは確実に自分のものにすることであり、先に触ろうが関係ないのです。これが文化の違いであり、カルタ取りにおいては“潔し”が日本文化でもあると思いました。
テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ
ことしの“ひゃくにんいっしゅたいかい”のせつめいがありました。それぞれ、ゆうしょうめざして、がんばってください。