校長室から『子どもの多面性を見る、知る、そして受け入れること~授業参観・個別懇談から~』
先日、遅ればせながらの第1回の授業参観と個別懇談を行いました。子ども達の学習状況、学校生活を見たり、聞いたりしたいと思われていた保護者の皆様は多かったのではないでしょうか。長らくお待たせいたしました。これらの取り組みを、学校はなぜするのでしょうか。大きく言えば、お子様に関して学校と家庭とで共通理解を図るというのが目的です。この共通理解を図るに際して、学校と家庭との見方が必ずしも一致するとは限りません。つまり、共通理解というのは、「そうそう、そうなんですよ」といった、同じ見方を一致させることではないのです。子どもだけでなく、大人でも、外面(そとづら)と内面(うちづら)があり、それは必ずしも一致するとは限りません。テレビで人気のタレントさんでも、画面ではあんなにおちゃらけているのに、私生活では物静かであるケースは、よく聞く話です。むしろ、多面性を持っているのが、普通かもしれません。
幼少期、家ではわがままな態度なのに、学校では聞き分け良く過ごしているといったタイプは、比較的多いように思います。子どもにとって学校は広い社会ですから、そのようになっているのは社会性が身に付いている証拠です。そんな学校と家庭の姿を互いに出し合い、情報共有をしていくのが、共通理解というものです。どちらもその子の本当の姿であり、そうして外面と内面をつくっていけていることを見てやらねばと思います。その逆に、家庭では聞き分け良く過ごしているのに学校では自由奔放にしているお子様の場合は、保護者から「先生の指導・対応が十分ではないので、うちの子がそんな態度になっているだけで、それは本来の姿ではありません」と、子どもの多面性をご理解いただけなかったことが多かったように思います。
人はいろいろな面を持ち、場面によって使い分けている、それがある意味、大人になってきている証拠である。そう考えて、我が子のいろいろな面を見よう、知ろうと思って、授業参観や個別懇談に参加いただくと有難いと思います。その中で、お感じになられたこと、先生に話しておきたいことがありましたら、何なりとお伝えください。ともに、子どもを育てていくパートナーとして、いろんな知恵を出し合えたらと思います。
子どもの多面性の話でもう一つ。子どもは、家庭と学校とで態度が違うことがあると書きましたが、学校は、先生に対しても態度が変わることがあることを認識しておかなくてはなりません。A先生の授業は従順に受けていても、B先生の授業では反抗的な態度になることも、当然あります。両面とも、その子の本来の姿ですし、おかしなことではありません。他者を不愉快にする行動は慎まなければなりませんが、心の中では相性が合う、合わないといった意識の違いはあって当然ではないでしょうか。つまり、相性は大人でも子どもでもあるはずです。今年度から5年生以上は、チーム担任制をとっています。固定担任とせず、チーム担任にすることで、より多くの先生がより深くかかわるようになり、複数の目でその子の個性を見取ることにより、子ども達の多面性を受け入れることにつながります。また、子ども達と先生の相性もありますので、相談しやすい先生に気兼ねなく声をかけやすくするためでもあります。
学校だけでなく、家庭も、そして子どもを取り巻く社会も、子どもは多面性を持っていることを認識し、それを丸ごと受け入れ、学校社会で臨機応変に対応していることを冷静に見ていくことが必要です。今回の授業参観、個別懇談が、そうした情報共有の場になっていることを願っています。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
あなたは、どんなひとですか。なにができて、なにができないですか。ひとには、いろんなすがたがあっていいとおもいます。どこでもおなじようにふるまうことを、じぶんにもとめることをやめましょう。