校長室から『教職員の自発的な学びを求めて~第2回まなび塾を開催~』
先週水曜日、本年度第2回の“まなび塾”を開催しました。この“まなび塾”は、いわゆる先生達の研修会です。教育基本法第9条には、「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。」とあり、研修は義務付けられています。そのため、日本の学校教員は、教育委員会主催の法定研修や希望研修、校内の職員研修、さらには個人による校外での研修を行っています。しかし法定研修以外の研修は各教員に委ねられており、研修意識だけでなく、研修受講頻度も人によって様々です。特に、日本人学校という国内とは違う、特殊な環境に身を置きますと、研修内容は現地理解のウェートが高くなり、授業改善や児童生徒理解にかかわる研修は少なくなりがちです。
昨年度も研修機会は課題であり、医務官を招いた心肺蘇生法研修や日帰りの現地理解研修を行いました。一方、本校近くの大学との連携研修、テヘラン市内の小学校の視察研修も探ってみたのですが、十分に進めることはできませんでした。
しかし、今年度、教務主任が音頭を取り、我々派遣教員が自らの経験、さらには造詣の深い専門分野を使って、互いが講師となる自主研修“まなび塾”を企画してくれました。日本人学校の教員組織は、全国都道府県から集められた優秀な教員によって構成されており、豊富なこの人材を活用しない手はありません。第1回は、私が講師となり、「チーム担任制と自由進度学習」について話をしました。そして、先日の第2回は、星野先生、村越先生が講師となり、実際に自由進度学習をした授業実践を報告されました。子ども達の姿で語る実践報告は、説得力があり、迫力があります。机上論にならない、地に足が付いた報告によって、話を聴いている先生達にはよい学びになったと思います。授業を進める中で、研修会の資料整理をするには時間も相当かかったと思いますが、お二人の気持ちと行動力に感謝しかありません。
冒頭、教育基本法第9条を引用しましたが、その条文の“絶えず”という言葉は非常に意味のある言い回しであるととらえています。人間ですから、“絶えず”というのはその人によって感覚の違いがあり、つまりは人に委ねることを意味していると考えています。つまり、教員の“研究と修養”は、各教員の自主性に委ねられているのです。人によって、「私は、日々の授業の中で子どもを見ながら、研究と修養をしています」と言うかもしれません。それも一つの研修意識でしょう。しかし、日々の授業を行っているだけでは、自分に足りないものを探し、見つけ、それを補うことはできません。どこかで自分以外から知恵を授かり、それを使ってみながら改善していく行動が必要です。そして、その行動は自主的であればあるほど、身につきやすいと思います。昨今、学校教育では“個別最適化”が叫ばれていますが、その理由は効率的だからです。先生の力量アップについても、“個別最適化”された研修が一番効率的なのでしょう。この“個別最適化”された研修の企画は、自分自身でするしかありません。また、もう少し集団を広げれば、学校職員自身で計画するしかありません。今の自分に足りないもの、今の学校に足りないものを知っているのは、自分自身、自校教員なのですから。
そんな“研究と修養”という言葉の意味を理解し、今年“まなび塾”を企画してくれている本校職員を見て、本当に嬉しく思います。これからの“まなび塾”が楽しみでなりません。現地スタッフの二人にも、「いずれ、講師として登場してもらうよ」と話しています。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
まなぶことは、いっしょうつづきます。まなびつづけられるひとは、どんどんあたらしいじぶんをはっけんして、じんせいをたのしむことができます。