校長室から『“もしも”と“まさか”に備えておくべきこと~心肺蘇生法職員研修を実施~』

先週水曜日、大使館の宮脇医務官をお迎えし、今年も心肺蘇生法およびAEDの使用に関する研修会を行いました。先日、高知県では小学校4年生児童がプールでおぼれて水死するという痛ましい事故が起こっています。学校側の過失は大きく、今後波紋は広がっていくように感じますが、水泳学習は常に危険と隣り合わせであり、施設整備を完璧にしていても、完全に防げるものではありません。災害同様、“もしも”“まさか”の事態に備えることが必要です。

昨年度、海外子女教育振興財団の安全対策補助事業の補助金を活用し、AEDを購入いたしました。昨年度始め、AEDが学校にないため、近隣の病院に行き、緊急時にAEDを持って駆けつけてもらえるか尋ねました。また、救急車の出動を依頼したら、AEDはどのぐらいの割合で搭載しているかも尋ねました。いずれも、不安を解消できる回答ではありませんでした。これが外国の実情であり、安全や安心は自前で準備すべきものなのかもしれません。そして、今年度、念願叶って、AEDを職員室内に設置することができました。設備としてはひと安心。水泳学習には、プールサイドに持っていくことにします。

しかし、施設整備は第1段階であり、最も大切なことはそれを使うスキルアップ、さらにはAEDがない状況にある時にはどうすべきかを考えておくことです。先日の研修会では、「プールに沈んでいる子を見つけました。さあ、どうしますか。」と医務官が状況設定をされ、それについて何をしたらいいのか先生達がいろいろな意見を出し合いました。医務官の一方的な講義ではなく、こうしたシミュレーションによる研修は、主体的に参加できるとともに、頭のトレーニングになります。そして、意見を出し終えたところで、「では、実際にやってみましょう」と声をかけられ、演習となりました。“もしも”の時に備えるということは、知識・技能だけでなく、状況に応じて柔軟に対応できる意識も高めておく必要があるのです。

また、今回の研修はイラン人現地スタッフも参加しました。総務・経理部長だけでなく、警備員も参加しました。今年度から採用している警備員の一人は、これまで心肺蘇生法の研修などしたことなかったそうです。しかし、心肺停止は、水泳学習時に限りません。突然、授業中に、登下校中に、大切な人が家の中で、ということもあるでしょう。“もしも”と“まさか”は時と場所を選びません。ですから、どんな状況でも、命を救えるスキルは身に付けておいてほしいと思い、全職員に参加してもらいました。

研修後に、医務官からは「先生達の研修に臨む姿勢が熱心でよかった」と講評をいただきましたが、毎日子どもの命を預かる学校職員として、命を救う意識と技術習得は必須であり、熱を帯びて当然だと思います。今回の研修は、大変実り大きいものがありました。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ

もしも、みなさんがプールでおぼれて、しんぞうがとまったら、どうするかについて、せんせいたちでかんがえました。みなさんも、おぼれないようにどうすればいいか、かんがえてみてください。

校長室から『“もしも”と“まさか”に備えておくべきこと~心肺蘇生法職員研修を実施~』

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