校長室から『緊張するから成長があるんだよ!~総合的な学習の時間テヘランタイムの発表会~』
先週木曜日は、総合的な学習の時間“テヘランタイム”でした。この時間は、イランの生活、風習、文化、歴史等から自分が気になる題材を選び、資料を探し、まとめるという学習をしています。「イランのお化けについて」「イスラム教について」など、興味深い発表テーマがたくさんありました。こうした多様な学習テーマに展開できたのは、7月に行った、イラン三菱商事の梨本さん、JICAの田中さんのご講演がよい刺激になったと思います。ありがたいことです。
今回は、リアル発表ではなく、オンラインでの発表会でした。しかし、当日は、テヘランにおられる保護者の方々が学校に来られることになりました。オンラインでどんな学習をしているのか、気になられたのでしょう。その上、在イラン日本国大使館の足立公使にもお越しになり、校内はとても賑やかになりました。我々としましては、子ども達が学習の成果をしっかり発表している様子を見ていただくことができ、嬉しかったです。
さて、発表会当日の朝、先生が子ども達に今の心境を聞きました。すると、多くの子が「緊張する」と言っていました。前の週に、発表会の練習も兼ねて、子ども達だけの発表会があったのですが、それでも「緊張する」と言うのです。その気持ちはよく分かります。発表内容や仕方がどうということではなく、保護者や公使に見られることが緊張につながっているのです。緊張する理由を聞いてみると、子ども達はそのように答えていました。
私は、「緊張するから成長できるんだよ」と話しました。我々大人でも、人前で話す時は緊張します。それは、自身を少しでもよく見せたいと思うからです。子ども達にとって保護者は一番よく見てもらいたい存在ですから、先生や友達よりも緊張するのは当たり前です。ただ、その緊張こそが、心を大きく成長させる栄養源と考えています。
緊張していた子は順調に心の成長の過程をたどっています。そして、自己満足できる発表だったら、それが自信に変わっていきます。しかし、その自信は小さなものです。もっと大きくするために、発表回数を増やすか、発表する舞台を大きくしてやらなければなりません。本校でしたら、日本人会などの多くの人前で発表できるような機会があればと思います。今年度、日本人会の方々が多く来られる、チェナール祭りで発表会をしようと計画していました。それは、より多くの人前で発表させ、緊張させる意図がありました。残念ながら今年度は叶いませんでしたが、来年度こそは実現したいと思います。
また、昨年度はパナソニック教育財団のプレゼンテーションコンクールに参加した生徒がいます。全国区の大舞台でしたので、想像を絶する緊張感だったと思いますが、見事に乗り越えていきました。こうして、緊張という栄養源を使いながら、少しずつ、少しずつ成長していくのです。
その発表会では、どの子も立派な発表でした。しかし、もし発表の途中で止まってしまい泣き出すようなことがあったらどうでしょう。私は、これまでの教師生活の中で、こうした発表を何回か見たことがあります。いくら待っても、話が始まらず、先生が声をかけて、次の子の発表になってしまうことが多かったように思います。この場合は、先生、保護者のフォローが必要ですが、道は二手に分かれます。「何やってたの。もっと頑張らなきゃ」と言ってしまったら、さらに自信を失い、トラウマとなるかもしれません。しかし、「緊張したんだね。誰だって緊張するから、その気持ちよく分かるよ」と寄り添うだけの言葉をかければ、次の発表ではまた同じラインからのスタートできるでしょう。
緊張があるから成長があります。本校は超小規模校ですから、なかなか大きな舞台を作ってやることができません。だからこそ、こうした機会を大切にしていきたいと思います。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
きみたちのはっぴょうは、とてもおもしろいはっぴょうばかりでした。「そんなかんがえかたをしたのか」「なるほど!そんなこともいえるなぁ」とかんしんさせられました。