校長室から『学校でしか体験できない活動とは~宿泊学習でシーラーズへ~』

 昨年度は緊急一時避難などがあり、子どもたちが楽しみにしていた宿泊学習は実施できませんでした。そのため、今回の宿泊学習は2年越しの実施となりました。

今回、新たに取り組んだのは航空機を利用した移動です。これまではバスを使っていましたが、バス利用では訪問できる学習先が限られます。私が赴任した1年目、学校運営委員の方から「せっかくイランに来ていながら、ペルセポリスを見ずに帰国する子どもがいるのは残念だ」という話を伺いました。私も同じ思いを持ち、次の宿泊学習ではぜひシーラーズにあるペルセポリスへ子どもたちを連れていきたいと考えていました。

ただし、シーラーズへは航空機の利用が前提です。イランでは経済制裁の影響で新しい機体の輸入ができず、航空機は年季の入ったものばかりです。修理部品の確保も難しく、整備士の懸命な努力で安全が支えられています。そのため、飛行機を使うことへの不安が高くなるのも当然です。そこで、交通手段は航空機と寝台列車の2つから家庭で選択していただきました。今回は全員が航空機を選択されましたが、仮に寝台列車を希望されても派遣教員が引率できるよう準備していました。
さらにハードルとなったのが、航空チケットの確保でした。フライトスケジュールが直前まで確定せず、行きの便が確保できても帰りの便が未定という状況が続きました。なんと、出発の3日前にはフライトキャンセルまで発生しました。スケジュールの流動性や突然のキャンセル、日常的な遅延など、航空機利用の難しさを実感させられました。それでも、実際に空の旅を楽しむ子どもたちの姿が印象的でした。

2泊3日の活動は非常に充実したものでした。猛暑の中、ペルセポリスやモスク、バザールを訪れ、日本の修学旅行で神社仏閣をめぐるような体験をしました。ガイドは、在外公館長表彰を受けた阪野みきさん。日本人でありながら国家観光ガイドとして活躍されており、その案内は遺跡をドラマチックに見せてくれました。

 また、体験活動の充実も大きな成果です。ザクロ農園では、農園見学だけでなく、草木を活かしたオアシスのような空間での手作り昼食も体験しました。鉄板で焼かれたナン、一面に広がるザクロの木。どれもテヘランでは味わえない特別な時間でした。

こうした活動を通して、学校行事の意義をあらためて考えました。学習指導要領には、**「自然の中での集団宿泊活動などの平素と異なる生活環境にあって,見聞を広め,自然や文化に親しむとともに,よりよい人間関係を築くなどの体験を積むことができるようにする」**とあります。私は子どもたちに「家族で行く旅行とは違います」と話しています。つまり、学校は家族旅行とは異なる体験を提供しなければなりません。今回のザクロ農園体験や陶芸体験、友達と過ごすホテルでの時間などは、その違いを生み出すものでした。

また、集団生活でのルールやマナーの学習も大きな成果でした。家庭では自由に過ごせても、学校行事では我慢や気遣いが求められます。子どもたちは注意や指導を受けながらも、よく頑張っていました。その姿に「今、よい学びをしている」と感じました。

この学びが、今後の学校生活にも活かされていくことを願っています。

テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
しーらーずーへのしゅくはくがくしゅうは、どうでしたか。たがいにこえをかけあっているすがたをうれしくみていました。ばすのなかでのうたも、さいこうでした。こんどは、こうきにえんそくがあります。たのしみにしていましょう。

校長室から『学校でしか体験できない活動とは~宿泊学習でシーラーズへ~』

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です