校長室から『規模や予算に関係なく、学習環境は整備しないといけない～クラウドファンディングをスタート～』
イランに来ていますと、日本の公教育はよく整備されているなあと感心することが良くあります。まずは、教育制度。日本の義務教育制度は良くできていて、大都会の学校であろうと過疎地域の学校であろうと、同じような教育内容を行っています。むしろ金太郎飴のような教育方針で、特色がない点は物足りませんが、教科書、学習指導要領の整備もあり、どの地域の学校の先生も似たような学習内容で、似たような指導をしています。イランでも、学習指導要領に当たるものを探したのですが、日本ほど詳しく緻密に書いておらず、大きな目標、大綱のようなものしかありません。
もう一つ、日本の義務教育の素晴らしさは、環境整備が行き届いていることです。自治体の財力によって多少の違いはありますが、どの学校にもプレゼンテーションの機器があり、大きくてきれいな体育館があります。GIGAスクール構想により、1人1台端末も全国の学校で整備されました。イランの学校を訪問していると、私立学校は日本以上に充実しているところもありますが、公立校、遊牧民の学校は、電子機器が足りず、教室も狭く、十分遊べるスペースもありません。文化、風習の違いがあり比較するものではありませんが、イランの学校訪問をしていると、日本全国どの学校に行っても同じように学習空間が整備されていることは、むしろありがたいことなのだと思わずにはいられません。日本では、まだまだ教育予算の配分が少ないと問題視されますが、世界的には恵まれている方なのかもしれません。
では、世界中にある日本人学校はどうか。教育内容は日本と同等の水準、質を保つため、文部科学省が教員を派遣していますので、日本の学校に転出しても、さほど問題は起こりません。しかし、学習環境となると、話は別です。学校予算が十分ある学校と、予算のない学校があります。予算のない学校は、限られた予算の中で、備品、教材・教具を買わなければなりません。本校もその一つです。過去から引き継がれた備品を大切に使っています。例えば、机と椅子。ねじが外れ、ギシギシと音がする椅子や机、黒ずみ始めたホワイトボードも、「行儀良くしていれば、椅子から音はしない」「スプレーをかけて磨けば、ホワイトボードも白くなる」と言いながら、使っています。その上、支出の多くを占める校舎家賃も高く、これ以上値上げされれば、移転を考えなくてはならない状況になっています。
ありがたいことに、児童生徒数が多かった時代に蓄えていただいていた財産があります。それが、枯渇しないように、制限をかけながら使っていますので、どうしても、使えるものは買わない、ぜいたくはやめようと考えることによって、我慢の積み重ねで、学習環境は老朽化していきます。また、政府からも援助を頂いているので、そのお金も大切に使っています。
こうした状況の中、援助だけでなく、自分達でもできることはないかと考え、クラウドファンディングを始めることにしました。『学ぶって楽しい！学習空間改善プロジェクト』と題して、クラウドファンディング会社ForGood社のお力を借りて、テヘラン日本人学校関係者、イランを愛する方々から、支援を頂くことにしました。このクラウドファンディングの特徴は、子どもたちを主役にすること。児童生徒会に声をかけ、どんなものがほしいかを聴きました。そして、支援者にどんなものでお返しできるかも考えさせました。目標額は100万円で、購入したいものは以下の通りです。
50万円達成で：学習机・椅子の更新、ICT機器等の購入
100万円達成で：運動用具・教室備品等の充実、
低学年教室や図書室の快適化
そして、リターンは以下の通りです。
ブロンズサポーター（寄付3,000円）には 子どもたちが制作した学校ビデオレター
シルバーサポーター（寄付5,000円）には、上記に加え、おまけ映像付き
ゴールドサポーター（寄付10,000円）には、上記に加え、子どもたち作成のイラン観光パンフレット
プラチナサポーター（寄付20,000円）には、さらに、ペルシャ文字感謝盾を贈呈
プレミアムサポーター（寄付30,000円～）には、さらに、購入した机と椅子に支援者の名前シール貼付
いかがでしょうか。この思いに賛同していただける方は、金額の多寡にかかわらず、ぜひご支援をお願いいたします。皆さまのご協力が、子どもたちの未来を形作る大きな力となります。クラウドファンディングの募集期間は7月31日までです。どうかお力をお貸しください。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
このまえから、みんなのきょうしつをきれいにするためのきふがはじまりました。2かげつごあつまったおかねで、つくえやいすをきれいにしていきましょう。