校長室から『未知の話をお聴きする貴重な機会~PTA主催のマドレセサロンを開催~』
先日、PTA行事として「マドレセサロン」が開催されました。この会は、保護者と派遣教員の研修会という位置づけですが、近年は子どもたちも一緒に話を聞いています。子どもたちのための講演会であれば学校主催の活動となりますが、私たち大人も学び続ける姿勢を持ち、それを子どもたちに見せることが大切です。大人が真剣に学ぶ姿は、子どもたちにとって最高の教育でもあります。そうした思いから、現在のように子どもと共に学ぶ形へと発展してきました。まさに、子どもたちと一緒に学ぶことにこそ、この活動の意義があるのです。
今年のマドレセサロンの講師は、在イラン日本国大使館の高木防衛駐在官でした。私たちは日頃から親しみを込めて「武官」と呼ばせていただいていますが、それも高木さんの温かいお人柄によるものです。今回の講演では、防衛駐在官としての任務や、自衛隊の組織・主な活動について、分かりやすくお話しいただきました。
普段の生活の中では、防衛や安全保障について詳しく知る機会はあまりありません。それだけに、高木さんのような専門家から直接お話を伺えたことは、子どもにも大人にも貴重な経験でした。こうして、気軽に専門家をお招きできる本校の環境は本当に恵まれており、このような機会を今後も大切にしていきたいと思います。
講演後、一人の子どもが何度も質問をしていました。高木さんが身近な存在であることも理由の一つでしょうが、それ以上に、話の内容に強く興味を持ったからだと思います。その中で、「どの国にも自衛隊のような組織はあるんですか?」という質問がありました。非常に本質的な問いで、私自身もしばらく考えさせられました。
日本は“戦争のない世界”を目指していますが、同時に防衛力も必要です。仮に“戦争のない世界”が実現したとしても、他国の存在を完全にコントロールすることはできません。だからこそ、自衛の力は不可欠です。高木さんは「国には抑止力が必要です」と語られました。つまり、他国が軽々しく手出しできないようにする力を持つことが、平和を保つ上で重要だということです。
“戦争のない世界”に武力は不要だと語るのは、理想としては美しいですが、現実には成り立ちません。かつて、ある先輩教員から「理想を語らずして教育は成り立たない」と教わりましたが、非現実的な理想だけでは、現実社会を生きる子どもたちを支えることはできません。学校は、実現可能な理想を語りつつ、現実を見据えて考える力を育む場所でありたいと思います。
日本は国際社会の中で、平和的な国として尊敬されています。外国の方から「日本はどうして80年間も戦争をせずにいられたのか?」と尋ねられることがありますが、その背景には、自衛隊の存在と、日本が他国と良好な関係を築いてきた外交努力があるのだと改めて感じました。今回の講演は、そのことを改めて考える良い機会となりました。
今回のマドレセサロンは、子どもだけでなく、私たち大人にとっても多くの学びと気づきを与えてくれる貴重な時間となりました。高木防衛駐在官、お忙しい中、本当にありがとうございました。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
くに、みんなのせいかつをまもるしごとについて、おはなしをききました。そうしたおしごとがあることで、わたしたちは、あんしんしてくらせています。
