校長室から『教育をみんなで繋ぐ~見守り支援スタッフ感謝の会を実施~』
“人は、人を浴びて人になる”私が大切にしている言葉です。人は、周りの人との関係で成長します。それが家族であったり、友だちであったり、先生であったり、ご近所の大人であったり。けっして、家族だけで成長する人はいませんし、ましてや先生だけで成長させることはできません。
「あなたの成長に、家族、友だち、先生、それ以外の大人が関わっています。全体を100とすると、それぞれどれぐらいになるでしょう。」と質問すると、個人によってまちまちですが、平均すると先生は30%以下で、“それ以外の大人”の割合が意外と高いそうです。
今週日曜日、5カ月ぶりに派遣教員3名がテヘランに戻りました。オンラインで授業はずっと続いていたものの、先生不在の学校で子どもたちはよく頑張ったと思います。不安になったり、寂しくなったりしたことも多々あったことでしょう。そのような中で活躍してくださったのが、二人の見守り支援スタッフでした。現地スタッフや警備員は全てイラン人であるため、少しでも日本人が子どものそばにいてあげることができたらと考え、配置しました。昨年度も同様の一時避難があり、お世話になったお二人に今年度も依頼しました。9月から3か月間、見守り支援スタッフが子どもたちのそばにいる関係が続きました。子どもたちにとって、心強い存在であったことは間違いありません。
この日曜日から派遣教員が戻ったため、支援スタッフとはお別れとなりました。そこで中休みに、ささやかながら「見守り支援スタッフへの感謝の会」を行いました。子どもたちは一人ずつお礼の言葉を述べ、その話を聞く中で、日々の学校生活のさまざまな場面でお二人に支えられていたことが伝わってきました。お二人からの言葉では、一人一人の成長を具体的に取り上げて話してくださり、先生とはまた違った視点から子どもたちを見守ってくださっていたことに、深い感謝の気持ちを抱きました。
家族でも、友だちでも、先生でもない大人との関係は、“ナナメの関係”とよく言われます。“タテ”や“ヨコ”の関係ではなかなか言いにくいことも、“ナナメの関係”だからこそ言えることがあります。今回の見守り支援スタッフは、まさに子どもたちにとってその“ナナメの関係”の存在でした。子どもたちは不安や不満をぶつけたこともあったでしょうが、その思いを受け止め、時には“ナナメの関係”だからこそ言える温かい言葉を返してくださったのだと思います。
この3か月間、子どもたちと見守り支援スタッフとの学校生活は、かけがえのない時間になったことでしょう。予期せずに起こったこととはいえ、こうした支え、助けてくださる存在があってこそ、今の子どもたちの姿があるのだと思います。そして、そんな話を聞きながら、今度は子ども達にいろいろな面で苦労をかけた分、今度は派遣教員の我々が頑張らねばと気持ちを引き締めました。まさに、子どもたちの教育が多くの手でつながれ、そしてバトンパスされたような気持になりました。
1人1人の子どもの教育は、みんなで繋いで行うものです。テヘランの狭く少ないコミュニティでは、そのことを日々実感します。こうした関係性は、派遣教員が全員戻ろうとも、大切にしていきたいと思います。
テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ
おふたりのすたっふとのおわかれは、さみしかったかもしれません。でも、てへらんではいつでもであえるひとたちです。こんどであったときには、またたのしいはなしをしてあげてください。きっと、すたっふのかたもよろこんでくれるでしょう。
