校長室から『最後まであきらめない!~運動会開催秘話~』

前回の通信で、最後に少し触れましたが、今年は歴史と奇跡が織りなす運動会と言えます。

今年、本校は55周年を迎えました。開校時に小学部1年生だった子ども達は、還暦を超えられていることになります。その間、在イラン日本人の人達が楽しんできた運動会も、開催できない年もありました。しかし、紆余曲折がありながらも、学校のバトンは今年の児童生徒9人に受け継がれています。そして、PTAの企画による記念Tシャツも作られ、伝統の運動会が盛り上げられました。

さらに、今年度は、会場に考えていた体育館の使用許可が下りず、開催4日前の段階で会場探しに奔走しました。使用不可は諸般の事情として如何ともし難く、受け入れざるを得ませんでした。電話でそのことを聞いた時、日本国内の学校が運動場を当たり前に所有していることをうらやましく思いました。しかし、子ども達が練習している最中、本校職員は市内60以上の施設に連絡を取りました。「大使館の庭は使えないか」「同じような外国人学校なら施設開放してもらえるのではないか」など、あらゆる方法を検討し、依頼をしていきました。このことが保護者の耳に入ると、知り合いを通じて空いている体育館探しをしてくださる方もおられました。

そうして動いた翌日の午後、「すぐに予約を入れるのであれば貸し出してもよい」という連絡が入りました。保護者のお知り合いのイラン人の方が間に入り、市内で慈善事業を展開している団体所有の体育館を紹介いただいたのです。幸運と奇跡が重なり、トントン拍子に契約まで進めることができました。

今回の事例を振り返りながら、「最後まであきらめない」気持ちの必要性を強く感じました。予定通りの開催をあきらめなかったことで、使用不可の体育館を責めることよりも、できることを優先する行動がとれました。不都合が起こると、人は原因を探り、攻める気持ちになりがちですが、その行為は「やる気」というエネルギーを消耗し、時間を空費してしまいます。それよりも、まずは自分達でできることを考え、動いてみることです。子ども達に「やればできる」「あきらめるな」とよく口にしますが、我々学校関係者自身が「やればできる」「あきらめない」姿勢を持たないと教育は始まらないと思いました。

こうした歴史のバトンを受け継ぎ、立派にやり遂げた子ども達。そして奇跡の開催にこぎつけた本校職員を私は誇りに思います。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ

きみたちのために、なんとかしようとするおとながたくさんおられます。きみたちは、しあわせものです。

校長室から『最後まであきらめない!~運動会開催秘話~』

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