校長室から『製菓見本市で工場見学先をゲット!~教材は足でかせぐ~』
「新聞記者は足でかせぐ」と聞いたことがあります。本校に講師として来ていただいた新聞記者の方からも、警察での張り込み取材のことを聞き、その言葉は本当なんだなと思いました。実は、教育界でも、「足でかせぐ」重要性は変わりません。
私が教育実習生を受け持った時、その実習生は「社会科で研究授業をしたい」と言いました。私は「国語や算数ならまだしも、社会科は結構大変だよ」と話しました。それでも、彼の意志は固く、3年生社会科『商店のはたらき』をすることになりました。そこから、彼との教材研究が始まり、市内のスーパーのあちこちを取材し、写真を撮って回りました。そうした取材の末に、たった1時間の授業が出来上がりました。市内を取材して回った後、夜遅く彼と食べたラーメンを今でも忘れられません。その彼は、現在、県教育委員会指導主事となり、県下の先生に対する研修を行っています。
話は変わって、先週金曜日(イランの週休日)。校内職員と製菓見本市に行きました。11月実施の遠足で工場見学を予定しており、見学先候補をリサーチするためです。あわよくば見学交渉までしようということでした。見本市には、イラン国内の製菓メーカーが集まっており、あちこちで商談をする背広の方々を目にしました。そのような中、先生達は各種商品を見ては、各社員に対して工場の位置を確認し、工場見学が可能か尋ねていました。数あるメーカーの中で一際大きなブースを持っていたBARAKA社とうまくコンタクトとれることができ、責任者との話がトントン拍子に進み、工場の下見、遠足時の見学のアポイントまで取れることができました。
この見本市視察については、担当の先生が保護者にも相談したところ、見本市開催の情報をもらい、前日の木曜日に職員室内の話題となり、行くことになったのです。保護者の情報提供に感謝するとともに、先生方のフットワークの軽さにも感心します。まさに、足でかせいで、つかみ取った見学先と言えます。また、イランですから、運動会の会場借用のように、突然、大どんでん返しが起こることもあります。そのため、しっかり第2候補も見つけてきました。
日本人学校で教育活動を計画する醍醐味はここにあります。国内でしたら、お決まりの見学先があり、このような苦労も少ないです。特に社会や理科といったリアルを求める教科は、子どもに与える教材、教具が決め手となりますか、海外では国内同様の教材、教具が手に入らなかったり、適当な見学先が見つけられなかったりします。しかし、そこで思考停止になるのではなく、「では、どうするか」と考えることが派遣教員には求められます。そして、それを克服することで教育者としての視野を広げ、力量を高めていきます。
見本市を楽しく歩く先生達の後ろ姿から、教材を足でかせぐ教師の姿を見ることができました。
テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ
せんせいたちが、みんなにおかしづくりのようすをみせてやりたいと、いっしょうけんめい、かいしゃのひとにおねがいをしていました。たのしみにしていてください。