校長室から『タブレットを使う良さと弊害~オンライン授業を2週間やってみて~』
イランの危険レベルが2から3に上がったことで、派遣教員は日本、児童生徒はテヘランと日本という状態となりました。そして、各地をつないだオンライン授業で何とか学校教育を行っていますが、早いもので2週間がたとうとしています。そのオンライン授業について、振り返ってみたいと思います。
まずは、オンライン授業の良さから。保護者からは、「画面越しであるという以外は対面となんら変わりなく授業を受けているように見受けられました。親として安心した次第です」という感想をもらっています。教科書中心にはなってしまいますが、その内容理解、技能の習得などについては、対面授業と遜色なく、できているように思います。私は、小学部3年生の算数を担当しているのですが、オンラインでも理解は早く、教科書上だけでなく、3年生後半で学ぶ内容に進んでいます。マンツーマンといった環境が大きく影響し、個別指導が充実することによって理解度は高く、先の学習内容にまで学ばせる余裕ができています。一人の生徒が「オンライン授業をすることに憧れていたから、ちょっと今の状態は楽しい」と言っていましたが、物珍しさも加わって、スムーズに進行できているように思います。
今週月曜日、中学部の道徳で、『背番号10』という教材を学習しました。高校野球で甲子園を目指す主人公のキャプテンがけがをし、部員に対する接し方が変わります。これまで厳しく部員を指摘し、できない事ばかり探して叱責する姿勢が、けがによって支援役に回り、部員の良いところを褒める姿勢に変わっていきます。そのことでチーム内の雰囲気がよくなり、見事甲子園出場を果たします。この教材の主題は、「部員や監督の支えなどで今の自分があることに気づく主人公の道徳的変化を考えることを通して、 周りの人々の善意や支えに感謝し、こたえようとする道徳的実践意欲を高める」ことです。人々はいろんなところで支え、支えられて生きています。野球チームもそうですし、テヘラン日本人学校内もそうです。こうした主題を学ぶため、まずは主人公の気持ちを考えさせたのですが、まとめの時間に、私の後輩である先生をゲストティーチャーに招きました。招いたと言っても、メールでお願いし、学習しているGoogle classroomに入ってもらうだけです。その先生は、高校時代、野球部でしたが、レギュラーには入れず、ずっと補欠でした。しかし、彼は「チーム内にレギュラー、補欠という考え方ありません」という話をしてくれました。チーム内には、ボールを手入れする人、声を出す人、ムードメーカーになる人などたくさんいますが、レギュラーは試合に出る人というだけなのだと話してくれました。話の内容はさておき、このように、簡単にゲストティーチャーを招くことができるのが、オンラインの良さの一つです。
一方、弊害も見えてきました。保護者茶話会で「子ども達が目の奥が痛いと訴えている」と聞きました。我々派遣教員も四六時中コンピュータの画面に向かっていますので、段々と目がかすんだり、痛くなったりしています。国内の児童生徒には、ブルーライトカットフィルムを貼っていますが、テヘランにいる児童生徒にはそれができておりません。しかし、フィルムを貼ったからと言っても効果も薄く、長時間タブレットの画面を見て学習をすることは、目にダメージを与えます。そのため、授業中、画面から目を離し、遠くを見る時間を意図的に作り、先生が声をかけるようにしました。また、保護者茶話会でアイデアをもらい、タブレットの画面を教室のディスプレイに映し出し、画面を大きくして少し離れてみるようにしました。今週からの対応ですので、その効果を来週は聞いてみたいと思います。
現在のイランの状況から、オンライン授業になることは避けられません。ただ、オンライン授業をせっかくするのですから、良さは最大限発揮できるようにしていきたいと思います。そして、弊害はいろいろな知恵を出し合って、軽減していきたいとも考えています。そのためにも、「これは良かったよ」「この部分で困っています」といったご意見は貴重です。ぜひお寄せください。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
オンラインでのじゅぎょうがはじまり、にしゅうかんがすぎました。もちろん、せんせいたちとおなじへやでじゅぎょうするほうがたのしいでしょうが、しかたありません。いまできることをやりましょう。そして、「こんなことはできませんか」ということがあったら、せんせいにいってください。