校長室から『今をしたたかに、しなやかに乗り切れるように~後期のスタートにあたっての所感~』

今週から、後期教育課程が始まりました。8月上旬から派遣教員は帰国を命ぜられ、夏季休業返上でオンライン授業の準備をし、かれこれ2か月が過ぎました。今回の国際情勢の悪化で一番影響を受けているのは子ども達であり、オンライン授業は1か月を超えました。コロナの時は、オンライン授業と言っても、まともに毎日6時間していたわけではありませんので、1か月以上ともなるオンライン授業は子ども達にとって未知のゾーンに入ってきていると思います。

そのような状況を考え、前期終業式、後期始業式での校長講話は、いずれも困難に負けず、置かれた場所で精いっぱい生活することをテーマにしました。しかしながら、いつまで続くか分からない授業の状況を「受け入れなさい」、「努力し続けなさい」と言うのは、とても心苦しいことでもあります。特に、テヘランで滞在している子ども達は、通常でも外で自由に出歩けない環境であるのに、さらに先生と画面越しでしか出会えなくなっています。心境を察するに余りあります。

昨日、道徳の授業を行った際、中学部1年生の生徒が、日本におられるおばあさんから手神をもらったことを紹介してくれました。その中には、イランに置かれている現状を踏まえ、「置かれたとこで咲きなさい」といった内容が書かれていたそうです。そのことを紹介し、こんな状況だけど自分ができることをしっかりやっていこうと思っていると力強く語ってくれていました。ご家族が孫を思い、エールを送られていることに感動するとともに、それをしっかりと受け止めようとする生徒の心にも胸を打たれました。

話は変わりますが、前任校で「チーム担任制」をした時、その変化に教員、保護者は戸惑う傾向にありましたが、子ども達は意外と楽しく受け入れていました。時代の変化、環境の変化には、大人よりも子どもの方が柔軟に対応できるものだと感心させられました。

イランとイスラエルとの緊張関係の中で、複雑な学習環境、教育活動となっています。私などは、毎日のニュースに一喜一憂し、悲嘆にくれる時も多いです。しかし、子ども達は案外、実にしたたかに、しなやかに現実を受け入れ、対応しようとしているのかもしれません。もちろん、そんな子ども達の姿に甘えることはできませんが、我々大人は子どもの姿から学ぶことが多いように思います

困難に立ち向かう力(レジリエンス)を支える力は、5つあると言われています。自尊心(自分を大切にする力)、感情調節(自分の気持ちに気づき対応する力)、自己効力感(やればできると思える力)、楽観性(出来事をバランスよく見る力)、人間関係(誰かを助け誰かに助けられるつながりの力)の5つです。本校の子ども達には、こうした力が備わっているのでしょう。学校も、もちろん、それらの力の育成に寄与していると感じておりますが、家庭、家族の支えによって、培われてきたのだと感じています。

この困難をしたたかに、そしてしなやかに乗り越えていくために、派遣教員、現地スタッフも、5つの力を大切にし、子ども達に接していこうと思います。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ

かならず、もういちど、みんなでがくしゅうできるひがやってきます。たのしみにまっていましょう。

校長室から『今をしたたかに、しなやかに乗り切れるように~後期のスタートにあたっての所感~』

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