校長室から『生活と密接にかかわるお金について考える~オンラインで進路講演会を開催~』
先週、28日、オンラインで進路講演会を開催しました。今回のテーマは、ずばり『お金の話』。金融の専門家であり、学校運営委員会の会計監査委員でもある竹下大介さん(三菱UFJ銀行・テヘラン駐在員事務所長)を講師にお迎えし、小学部と中学部に分けた二部構成でお話を聴きました。竹下さんは学校教育にも関心が高く、子どもたちとの対応にも慣れておられる方です。プライベートでの食事会では、本校の子どもたちとオセロ対決をし、オセロの勝ち筋をご指南いただきました。そうした関係もあり、一方的な講演というものではなく、子どもたちの意見や考えを聞きながら、お金と子どもたちの実生活を結びつけた話となり、とても理解しやすい講演でした。また、子どもたちに交じって、我々派遣教員、そして保護者も参加しましたが、大人目線でもライフプランを考える、貴重な時間となりました。
お話の内容は、多くのお金がかかるライフイベントの話から始まり、お金の歴史、銀行の歴史についてお聞きしました。その後、「自分がパン屋の経営者になったとき、生産を増やすために何をするか」を考える演習を行いました。そして、小学部では「自分がほしいものを書き出してみよう」「それを手に入れるためにお金はいくら必要か」「ほしいものが手に入らないときには、どうする?」といった課題を一緒に考えていきました。また、中学部では「生産を増やすために何をするか」「そのためにどれくらいのお金が必要か」「その資金をどうやって手に入れるか」など、起業者になったつもりでお金の出し入れについて考えていきました。こうした学習によって、お金の存在をよりリアルに感じることができたと思います。大人たちも、子どもたちの意見を聞いてニンマリしたり、感心したりして、聴き応えのある1時間でした。
お金を意識すること、お金を管理することは、成長の大きな一歩です。私自身の幼少期、お金はいくらでもある、そして簡単に手に入るような意識でした。決して家庭が裕福だったわけではありません。お金が縁遠かっただけです。そのうち、お小遣いをもらうようになり、お金は簡単に手に入らず、上限があることを実感するようになりました。また、小学校低学年のとき、近くの川から魚を、田んぼからカエルを取って、お店(他人の農具倉庫の一角を勝手に利用)を出したこともありました。友達は、「おっ、西田が何かしてる」と遊びに来たものの、当然、誰も買ってはくれませんでした。どこにでもいる魚とカエルでは、商売になりません。10円たりとも、簡単に手に入れることができないことを痛感しました。そのときの落胆は、今でも覚えています。大学生になって初めて通帳を渡され、親からの仕送りとアルバイトで1ヶ月の生活をお金で管理することを学びました。こうして、少しずつお金の価値を知るようになり、大人の階段を上ってきたように思います。きっと、日本人学校の子どもたちも、これから成長するにしたがって、お金の存在を強く意識できるようになり、自分の生活をお金を基にしながら考えられるようになっていくことと思います。また、お金は仕事を含むキャリア形成において、切り離せない存在です。今回、竹下さんにお聴きしたお話が必ず役立つ時が来ます。そのため、非常に重要な学びができたと思います。
お忙しい中、竹下さんには貴重な時間を割いてもらい、有意義な時間を作っていただきました。この場を借りまして、深く御礼申し上げます。ありがとうございました。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
いまは、がいこくにいるので、あなたがおかねをつかうことは、あまりないかもしれません。しかし、おとなになるにしたがって、おかねのことをかんがえるようになります。そのときが、すぐにやってきます。