校長室から『好きが高じて花となる~テニス学習を実施~』

 「子どもの可能性は無限大」とよく言われます。私は、その言葉を心底信じています。私も、還暦を過ぎ、多くの大人の人と出会ってきました。いろいろな仕事、趣味をされている方と話をする際、時折、「どうしてその仕事をされるようになったのですか」「どうして、そんなことができるようになったのですか」とお聴きするのですが、そのきっかけは実に多様です。幼少期の経験、人との出会い、自然に触れあった時のひらめき、何となく成り行きで。つまり、コトの成就に定石はないようです。ですから、学校の先生は、どんな花を咲かせるか分からない子ども達に、言葉のシャワーをかけることが何より重要だと思っています。本校に転入してきた2年生。彼女は油絵をしている本格派の芸術家です。早速、「テヘラン日本人学校のアーティスト」と呼ぶことにしました。絵に興味を持ったきっかけは聴いていませんが、彼女の才能、可能性は大切にしなければと思っています。

4月から、テニス学習が始まりました。校庭が広くない本校の子ども達は、屋外で実施するテニス学習、プール学習を楽しみにしています。そんな子ども達には、将来のテニスプレイヤー、オリンピックの水泳選手という、大それたゴールではなく、趣味として生涯スポーツを楽しみ続けてほしいと思っています。生涯スポーツとの出会い。これも大切な可能性の一つです。

言葉がけは実にシンプルに考えています。良かった時に大いに褒めちぎる。うまくいったのは10回に1回だったとしても、「いいねぇ」「今のは、最高のボール」「うまくなってる」など。数多くの褒めるボキャブラリーを持っていることが先生の力量の一つではないかと思っているぐらいです。そうした言葉のシャワーをかけていくことで、そのうち、“テヘラン日本人学校のアーティスト”のように、テニスが好きになってくれれば、あとは花が咲くのを期待するだけです。

ここで、子どもの素養で大切な部分が影響してくるように思います。それは、自身がその気になる気持ち。いずれ高校生、大学生になっていくと、嫌でも他人と比較するようになり、自身のレベルを知ることになるでしょう。今でも、テニスをしていて、「あの子はうまいなぁ。それに比べて、私はまだまだだ」と思っているかもしれません。こうしたメタ認知はいずれ必要です。しかし、そうであっても、まずは「よし、やってみよう」「ちょっとすればできるようになる」「楽しい」「おもしろい」という自身の気持ちがないと、他人の出来に影響されて、可能性は小さくなってしまいます。

幸いにも、本校の子ども達は、テニス学習を楽しみにして活動していました。また、先生の指導も、たくさんの言葉がけをして、子ども達のモチベーションアップに効果を上げていたと思います。今回で、テニス学習は終わりになりますが、次は運動会。そしてプール学習へと体育的活動は続きます。現実に向き合う厳しさを持ちながらも、スポーツが好き、できるように感じる自分が好き。そんな子ども達の育成を進めていきたいと思います。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ

てにすがくしゅうは、たのしめましたか。みんな、すごくじょうずになり、びっくりしています。やればできるこばかりです。つぎは、うんどうかい。たのしんでいきましょう。

校長室から『好きが高じて花となる~テニス学習を実施~』

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