校長室から『オンラインで同級生と学習する~南西アジア・中東日本人学校ネットワーク~』

 本校は超小規模校であり、一つの学年の在籍数は多くても二人です。気心の知れた関係で、友達以上、家族未満のような距離感かもしれません。また、授業もほぼマンツーマンで行えるため、一人一人に応じた個別最適な学習が実現できています。その一方で、切磋琢磨したり、刺激を受けたり、他者の意外な考えや意見に触れて多様な視点を身に付けたりする機会は、大人数の学級と比べると少なく、デメリットと言える部分でもあります。そのような現状を踏まえ、異学年交流を増やしたり、先日のコリアンスクールとの交流のように外部教育機関と連携したりする取り組みを行ってきましたが、十分とは言えません。

こうした課題について、11月に開催された『南西アジア・中東・アフリカ校長研究協議会』で協議する中でヒントを得て、オンラインで小規模日本人学校同士をつなぎ、同学年で授業を行う取り組みを始めることになりました。参加校は、テヘランのほか、コロンボ、イスラマバード、カラチ、リヤド、ジッダの日本人学校です。

12月15日には、ジッダ日本人学校の先生が授業担当となり、6年生を対象に英語の授業が行われました。本校の6年生は二人ですが、オンライン上には10名の子どもたちが集まり、オールイングリッシュで自己紹介をし合いました。ルーレットで順番が回ってくるという仕掛けもあり、45分間という短い時間でしたが、同級生と学ぶ貴重で有意義な時間となりました。

今回の授業は、まずは一度やってみようというプレ授業であり、まだ始まりの一歩に過ぎません。今後は全学年(中学部は合同クラスを予定)で、できれば月1回程度のペースで実施していきたいと考えています。

どの学校も派遣教員の数は限られており、中には、自校のすべてのオンライン授業に教員が指導者として入ることが難しい学校もあります。最初は子ども達も慣れるまで時間がかかると思いますが、最終的には、授業担当の先生が画面越しにいれば、機器トラブルを除いて大人の直接的な関与がなくても学習が成立する状態を目指しています。

 では、そこまで到達できるのか。私たちテヘラン日本人学校の教員は「可能である」と考えています。実際、本校では今年7月から約4か月間、オンライン授業を行ってきました。指導者は本校の教員でしたが、イラン側には子どもたちだけがいる状況でも学習は成立しました。その経験から、今回の取り組みも実現できるのではないかと期待しています。仮に指導者がいない時に機器トラブルが起きたとしても、「つながらないのですが、助けてもらえませんか」と自分から隣の教室の先生に伝えられる力を身に付けておけば問題ないと考えています。

今回参加している学校はいずれも小規模校で、異学年が同じ教室で学ぶ“複式学級”をもつ学校です。下級生が上級生に助けてもらい、上級生が下級生の面倒を見る中で育つ力もありますが、同級生同士で意見を交わさなければ成立しない学びも確かに存在します。それが月に1時間でも確保できれば、大きな意味があると考えています。6校が連携して行う取り組みですので、どこまで発展するかは分かりませんが、今後の広がりを楽しみにしています。

次回は、1月14日全学年で実施する予定です。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ

6ねんせいが、6つのがっこうのおともだちとがくしゅうしていました。しらないこばかりで きんちょうも していたけれど、たのしそうに がんばっていましたね。

校長室から『オンラインで同級生と学習する~南西アジア・中東日本人学校ネットワーク~』

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