校長室から『先見性、独創性を持った人材を育てられているか~“注目論文数、日本13位に転落”記事より~』

文部科学省の科学技術・学術政策研究所が、研究内容が注目され多く引用される論文の数をランキング付けした結果を公表しました。日本はイランに抜かれ、13位に低下したとのことでした。この調査は、国際的な注目度の高い論文の指標となる「トップ10%論文」(ほかの論文に引用された回数が各分野で上位10%に入る論文数)を指標としています。つまり、他の研究にも影響力のある論文数ですから、先見性や独創性に富んでいなければなりません。また、研究論文を数多く出さなければ、ヒット論文も出ないでしょう。そういう意味では、研究者の意欲も影響しているでしょう。

こうしたランキングに一喜一憂する必要はないですし、義務教育が対応に右往左往することではないかもしれません。しかし、国全体の現況、我が国の世界での立ち位置を考えるのに、参考になる資料です。そして、研究者の基礎が義務教育段階で形成されていると考えることは必要でしょう。

では、本校をはじめ、日本の学校は、どんな視点で見直しを図るべきでしょうか。私は、先見性、独創性を持った人材を育てられているか、未知の分野にトライする意欲を醸成しているかといった課題意識を持って、学校を見直していく必要があるように思います。このことは、単にヒット論文を多数輩出することに留まらず、グローバルに事業展開する各種企業においては必要な資質であり、今は公務員でも求められる時代に入っています。

また、ここイランで生活していると、イラン人が逞しく生きていることを常々感じます。勤勉さとはまた違ったバイタリティ、苦境に屈せず前向きに考えようとする姿勢(日本人から見ると楽観的に見えるかもしれません)など、日本人が見習うべき部分があると感じています。日本から外国に出る留学生が減少傾向になって久しいですが、他国から学ぶ機会をもっと作っていくことも必要です。その点において、日本人学校は国内より恵まれた環境であり、積極的に現地から学ぶ必要があるでしょう。

さらに授業という限られた時間に目を向けていくと、子ども達の新しい発想を大切にした学習展開にできているか、独創的な思想を育む教材を与えられているか、最後まで粘り強く取り組めるよう時間を担保できているかなど、振り返るべきポイントが見つかりそうです。しかし、現実は、教科書中心となり、講義型の授業をしてしまいがちになり、どうしても先にあげたような視点では授業できていません。年度下半期は、こうした視点も大切にした授業を一つでも多く行っていかなければならないと感じています。

※写真は本年度大学入試会場に来た受験生、保護者の様子(イランでも受験熱は高い!)

【参考記事】『日本の注目論文、イランに抜かれ過去最低の13位に転落』(8月8日読売新聞オンライン)

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ

“まなぶ”ということばは、“まねぶ(まねをする)”ということばからうまれたそうです。まねをすることが、べんきょうのだいいっぽです。でも、つぎのいっぽは、じぶんでかんがえ、やってみることです。

校長室から『先見性、独創性を持った人材を育てられているか~“注目論文数、日本13位に転落”記事より~』

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