校長室から『始業式での作文発表~話すことの効果~』

今週から、後期教育課程が始まりました。そして、先日の始業式では、2名の児童生徒が作文発表をしてくれました。この作文発表は、始業式、終業式毎に2名ずつ発表していきますので、かなりの頻度で回ってくることになっています。今回発表してくれた子どもたちも、限られた人数、狭い講堂内であって、文章をよく練り上げ、緊張感をもって作文を読み上げていました。

前期後期の2期制をとっていると、学期間の切れ目が短く、節目を感じにくいというデメリットがあります。しかしながら、始業式ではこれからの目標を多くの人に宣言し、終業式ではこれまでの成長を振り返ることができる作文発表は、子ども自身で節目を創るのに効果的です。ぜひ、まだ行っておられない学校は、取り組んでみられたら良いと思います。

超小規模校である本校では、授業においても子どもが語る時間は多くなります。40人規模の教室とは違い、子どもが語らなければ授業は成立しないため、語ることを要求されます。一方、文字を書くより話すことで済まそうとする子も多く、私が担任している国語の授業などでは、むしろ書く時間をどう保障するかに苦慮しています。

さて、いろいろな場で話す機会が多い本校ですが、人前で話すことにはどのような効果があるでしょうか。今回の始業式で作文を読み上げた子ども達の顔を見ていますと、緊張した面持ちで読み、終わった後は安堵感が漂っているように感じられました。話すことによって得られる効果の一つに、“カタルシス効果(浄化作用)”というものがあるそうです。溜まっていた感情や気持ちを吐き出すことで、心がスッキリしたことは、多くの人が実感されておられるでしょう。話すことには抵抗があり、できたら避けたいと思う人もおられるかもしれませんが、話し終えてみると、気持ちよくなります。むしろ、緊張して話した人の方が、浄化作用はより大きいのではないでしょうか。

もう一つの効果は、“バディ効果(仲間意識)”です。孤独感から開放され、自己肯定感を得ることにつながります。これは、聞き手の協力が必要ではありますが、本校の始業式においても、聞き手の児童生徒がうなずき、時には笑うなど、あたたかい反応を返していました。児童生徒数は少ないですが、こうしたリアルな反応を身近に感じ、仲間意識をより高めているように思います。

そして、もう一つの効果が“アウェアネス効果(気づき・理解)”というものです。今回発表した子は、下敷きを敷いて文字を書くことの大切さを話してくれました。もう一人の子は、鉄棒ができるように頑張りたいという目標を熱く語ってくれました。話題はとても身近で、自らの生活に直結するものでした。作文を練り上げる際には、おうちの人にアドバイスを受けながら、書いたかもしれません。決意表明の作文は、一人で書くのが良くて、他人のアドバイスが入るとダメだとは決して思いません。むしろ、他者の意見が入ることで、見えてくることもあります。アドバイスを受けながら、自分の言葉で書くことにより、自己理解が深まり、正しい判断・決断ができる力を養うことにつながります。

このように、人前で話すことによって、たくさんの好影響が生まれます。これからも、儀式での作文発表を続けていくとともに、授業でも先生の話より、子どもの声で成立する学習スタイルを目指していかなければなりません。

【参考資料】『話をする効果』話し相手.JPのHP

 

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