校長室から『自分の力を客観的に見る姿勢を養う~学力テスト・各種検定を活用して~』

子ども達が、日本各地の学校に転入して、ずいぶんと時間が過ぎました。先日のオンライン集会では、相変わらず、各校でいろんな体験をしている楽しい話を聴かせてもらいました。イランに戻った時の土産話が楽しみです。

我々職員は、昨日、オンラインで職員会議を開催し、学校再開後の学校行事について話し合いました。再開時期が明確になりましたら、タイミングを見て皆様にもお知らせいたします。先日のオンライン保護者茶話会で出された意見も参考にしつつ、学習内容がすべて履修できることを最優先して考えましたので、ご理解をお願いしたいと思います。

その職員会議の別の議題で、本年度の学力テストについても話し合いました。本校は、様々な教育機関が提供している学力テストを実施しております。今年度も、中学部の生徒には回数多く実施するとともに、小学部の児童も対象にしていく予定です。また、これまで英語検定、漢字検定を実施しておりましたが、加えて数学検定も取り入れる方向で計画をしております。各種検定は希望制ではありますが、ぜひ積極的にチャレンジしてほしいと思います。

これらの学力テスト、各種検定については、保護者の皆様からは「少人数で切磋琢磨する機会が少ないので、より多く実施してほしい」というご要望がありました。おっしゃる通り、本校では誰かと競ったり、より能力の高い同級生を意識したりする機会は乏しいため、これらの機会は貴重です。

一方、この学力テスト、各種検定は、切磋琢磨する意識を育てることの他に、重要な意味を持っています。それは、自分の力を客観的に知る姿勢を養うことです。むしろ、切磋琢磨することよりも、こちらの価値がより大きいかもしれません。

確かに、何点とれたか、偏差値はどうであったか、順位は何番だったかということは、気になるところですし、それを目安に努力することを完全に否定するものではありません。ただ、入学試験、就社試験ではなく、テスト、検定ですから、この取り組みが次にアクションを起こすことにつながっていかなければなりません。つまり、点数や偏差値に一喜一憂するよりも、自分は何が得意で何が苦手なのか、どの分野の力が落ちているのかを知ることこそが重要であると考えています。自らの能力の濃淡を知り、総合的に点数を上げるためには、何をしていけばいいのかを知ることができれば、今後の学習に役立ち、結果として能力は高まっていくことでしょう。

ただ、こうした自らの力を客観的にとらえる“メタ認知能力”は、テスト、検定の機会に発揮するものであり、年間限られたテスト・検定回数の中で養えるものではありません。むしろ“メタ認知能力”は、普段の生活の中で少しずつ高めていかなければなりません。今年の2月22日の『校長室から』でも書きましたが、普段の授業の中で折に触れ、自身の能力と向き合う時間を設定する必要があります。

また、家庭での一言も大きな鍵を握っています。点数や偏差値など見かけの数字に目が行き、「もっと頑張れ」と励ましても、何をどう頑張ればいいのか、子どもは途方に暮れるばかりです。挙句は、不機嫌になり、そのうちテスト結果も見せなくなるかもしれません。ですから、ぜひ“メタ認知能力”を意識した言葉がけをお願いします。何ができて、何ができなかったのかを尋ねたり、これからどんなことに力を入れたいのかを問いかけたりしてほしいと思います。

今年度の学力テストや各種検定は、切磋琢磨、チャレンジ精神の育成とともに、こうした自分の力を客観的に見る姿勢を養う良い機会ととらえていただきますよう、ご理解をよろしくお願いいたします。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ

じぶんは、なにがとくいで、なにがにがてか、しっていますか。それがわかれば、つぎにどうすればいいのか、やることがみえてくるはずです。

校長室から『自分の力を客観的に見る姿勢を養う~学力テスト・各種検定を活用して~』

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