校長室から『学校の良さはいつであっても、どこであっても変わらない~東京で修了証書授与式を開催する意味~』
イランだけでなく、中東が大変なことになっています。私は政治的なことを述べる知識も経験もありませんが、教育という視点で見ると、非常に深刻な状況であると感じています。イランは学齢年度が9月で変わるため、学校は年度末に向けて大切な時期になっています。おそらく、イスラエルとアメリカの空爆により、学校は当面の間、休校となっていることでしょう。また、*誤爆により校舎が爆撃に遭ったというニュースもあり、施設にも被害が出ております。教育機会を奪われ、学ぶ場を奪われた罪のない子ども達は、今後どんな教育を受けていくのでしょうか。そして、どう育っていくのでしょうか。祖国をこんな目に合わせている国を子ども達は喜んでいるのでしょうか。力による解決は、教育の視点から見ると到底理解できない行為です。
そんな中、本校も大変な被害を被っています。テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達の教育機会は奪われ、帰国を余儀なくされました。派遣教員も避難帰国して、本来の教育活動の場を失いました。しかし、忘れてはならないのは、テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達の存在です。私は、テヘランにいようが、日本に避難帰国しようが、本校の子ども達であることに変わりはないと思っています。
1月16日に派遣教員は避難帰国し、その子ども達に何ができるかを考えました。そして、最大の学校行事と言われる、卒業証書授与式を、どのような状況であっても開催しようと決意しました。1月下旬は、もしかしたらテヘランに戻れるかもしれないと思い、テヘランでの通常開催をプラン1として、子ども達が戻っても派遣教員が戻れていない状況での開催をプラン2、子ども達も派遣教員も全員戻れていない状況での開催をプラン3としました。残念なことに、情勢は日に日に悪くなり、戦争が勃発し、最終的にはプラン3が現実となりました。まさに厳しい現実を突きつけられる結果となりました。
しかし、職員が下を向くような学校に、子ども達への良い教育を行うことはできません。どのような状況にあっても、「今、何ができるのか」を考え続ける姿勢こそ、子ども達に示すべき教育であると考えています。周囲からは「帰国して、日本の学校に登校しているのだから、そこに任せておけばよいのに」「どこまでテヘラン日本人学校を引きずるのか」という見方があるかもしれません。私は「最寄りの学校に通おうが、この子達は今でもうちの学校の子ども達です。」「これからもテヘラン日本人学校であることを大切にし続けます。」と答えます。
そこで、卒業生をはじめ今の在校生に何ができるかを考えました。それが、修了証書授与式です(卒業証書は日本の学校で授与されるため、修了証書を手渡すことにしました)。確かに、イランを取り巻く情勢によって、子ども達も思いもよらぬ状況になりました。順応性が高い子ども達ですから、今の学校で友達と仲良く生活できていることでしょう。でも、もしかすれば、時折、「本当は今頃、テヘランにいて、・・・」と思う瞬間があるかもしれません。下を向きそうになるかもしれません。そんな子ども達に、「テヘラン日本人学校の子ども達は、決して不遇ではないよ。だって、こんなにもたくさんの人があなた達をこれまで支え、応援してきてくれたし、これからもそれは変わらないよ。だからあなた達はとても幸せな人なんだよ」と伝えたいと思いました。そのために、子ども達や学校をよく知る人たちに集まってもらおうと考えました。
おかげさまで、30名を超える参加者が集まり、式に花を添えていただくことになりました。元在校生、そしてそのご家族、まるで近所のおじちゃんのような存在だった駐在員、大使館職員の方々が集まられます。在イラン日本国大使館は戦火の中でも、現地スタッフもオンラインで参加できるように手配を進めてもらっています。こうしたコミュニティ、アイデア、何より困難に立ち向かうタフさがあるのは、テヘラン日本人学校と、それを支えるコミュニティならではの力と言えるでしょう。そんな学校の良さが存分に詰まった式になりそうです。
3月15日(日)14時30分に開催します。おそらく涙の式になることは確実ですが、一生忘れることができない式になることも間違いありません。ぜひご参加ください。
なお、今回の式の開催に際しまして、海外子女教育振興財団様には会場提供をはじめ、多大なるご支援をいただいておりますこと、この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございます。
テヘラン日本人学校で学ぶ子ども達へ
ひさしぶりに、みんなでかおをあわせることができます。そして、あなたたちをささえてくれたひともきてくれます。はじめてみるせんぱいもおられます。てへらんにほんじんがっこうのよさをきっとかんじることができるでしょう。たのしみにしておいてください。
