校長室から『逆境になって問われる学校の力 その1~突然の緊急臨時休校を迎えて~』
4月14日。この日は、新派遣教員の着任式、始業式、そして中学部の入学式の予定でした。全てが始まる大切な日の3時14分、大使館から電話で、イランのイスラエルに対する報復攻撃について知らされました。今後どのような展開になるのかわからず不安なまま、5時に派遣教員とはオンラインで会議を行いました。その時から、あっという間に10日が立ち、今は、全ての子ども達、派遣教員は日本国内にいます。
14日からは、子ども達と先生、子ども達同士のつながりを大切にしようと、10時にオンライン授業を行いました。画面越しにはなりましたが、新派遣の先生の着任式を行い、私も始業式の講話をしました。春休み明けで久しぶりに出会う子ども達の顔は明るく、我々教員の心を弾ませてもくれました。その後は、教科の授業もオンラインで開始しました。また、17日は保護者の責任の下、学校に集まり、1度だけ対面での授業を行いました。同時進行で、保護者説明会を行い、帰国後の就学、本校の教育活動についてご説明しました。
その後、派遣教員を第1次避難チームと、2次避難チームに分けて、緊急帰国。急な決断にも柔軟に対応してくださった文部科学省職員の皆様には、本当に感謝いたします。
これまでの10日間、我々学校が大切にしてきたことは、子ども達がどのような気持ちで生活し、そしてどんなことを学校に期待しているのかを考えることでした。この姿勢がなければ、教員とは言えないでしょう。「きっと子ども達は新年度の出端をくじかれ落ち込んでいるのではないか」、「新しい学年での学習を楽しみにしていたのではないか」、「早く友達に会いたがっているだろう」、「校庭で遊びたいと思っているだろう」。そんなことを考えていると、できないことはあるものの、できることも見つかっていくものです。今は、オンラインツールを使って、全校集会や授業を行っています。子ども達が転入した学校から帰ってきた時間、各教科で学習支援をすることにもなりました。それらのアイデアは、私の指示ではなく、先生から提案されたものでした。本校派遣教員の意識の高さを新年度早々から実感しているところです。この視点は、今後も引き続き、大切にしていきたいと思います。
もう一つ、この10日間で考えてきたことは、学校とはどういう場所なのか、どのような形であれば学校と呼べるのかということです。これは学校経営者として、必ず考えておかなければならないことです。そのことを考えた時、リアルな登校は今や必須条件ではないように思いました。通信制の学校が数多く存在しているのがその一例です。ただ、学校は学力だけでなく社会性も身に付ける場所です。そのため、例えオンラインであっても学校として存在するためには、人とのつながりは必須条件のように考えています。そのため、オンライン集会など、子どもたち同士の交流の時間、先生とのやり取りの時間は必須といえるでしょう。いつまで続くかわからない休校期間ですが、続けていきたいと思います
新型コロナによる休校の時、日本の学校にとは大きなピンチでした。しかし、これまでの学校の在り方を見直し、大切な部分を見つけるチャンスでもありました。今回の国際情勢による臨時休校は、本校にとってとても大きなピンチですが、大切なものを見つけるチャンスでもありますこのような逆境になった時、学校は何ができるのか、何を大切にするのかが問われているように思います。
この1週間、毎日、オンラインで職員会議をし、子ども達への対応を話し合っています。また、日本からの輸送品の受け取りをどうするか、休校期間中の授業料をどうするか、事務的な部分も協議事項になっています。しかし、そんな話し合いをしている時、派遣教員の居住地は全国様々ですが、一つの学校を維持するために、力を出し合っていることを強く感じます。子ども達も、全国いろいろな場所の学校に転入し、頑張っていると聞いています。
今回の逆境は、学校にとって、子ども達にとってマイナスではなく、プラスにしなければならないと思います。
テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ
きゅうに、きこくすることになり、たいへんでしたね。しばらく、あたらしいがっこうにいくことになりましたが、それぞれのばしょでがんばりましょう。そして、こんどあつまったときは、いまかよっているがっこうのよさをおしえてください。たのしみにしています。