校長室から『逆境になって問われる学校の力 その2~現在の教育活動~』

  緊急一時帰国によって、学校は休校状態になっています。前回では、こうした状態の中、学校とはどうあるべきか、何をするところを考える視点についてお伝えしました。今回は、学校は具体的に何をしているのかを書きたいと思います。

 今回の危機に際して、相談相手、指南役として、学校運営委員会、在イラン日本国大使館、そして文部科学省の存在は大きなものがありました。常に学校の意見を聞き、子ども達と先生の生命の安全を意識した対応をいただきました。そして、今は教育活動の維持運営にご協力いただいております。そんなバックアップ体制の下で、たった6人の派遣教員ですが、いろいろなアイデアが先生自身から生まれています。

まずは、オンラインによる授業。「学びを止めない」をスローガンに、イランがイスラエルに攻撃を行った4月14日から、ずっと続けています。開始当初は、子どもの心のケアが中心であり、とにかく対話することに注力していましたが、少しずつ教科学習を行えるようになりました。実は、小学部の教科書が新しくなり、先生達は持っていませんでした。そのため、帰国するとすぐに最寄りの書店に行き、教科書を手に入れるところから始めました。次に困ったことは、全国各地域の学校に子ども達が通っているため、本校使用の教科書でないことでした。中でも、国語は教材文が分からなければ、指導も十分できません。国語担当の先生は、教科書採択のために各社の教科書を揃えていた県教育委員会の教科書センターに足を運び、借りる手配を行いました。そもそも日本人学校は、国内とは違った環境下にある海外で国内同等の教育を行う必要があるため、ないものはないなりに何とかして授業する学校です。派遣教員はそうした意識が高いですから、「できない」とは言わず、できることをする姿勢を持っています。困ったことが起これば、できることで即行動。オンライン授業を行うために、昼の時間、先生達はこうした準備活動を行っています。

そして、先にも書いた、放課後補充学習。最寄りの学校に通い始めた子ども達に学校として何ができるかを考えた先生が、「一時帰国で失われた1,2週間で、子ども達が学習理解で困っているのではないだろうか。もし、学校に通っていても分からないことがあれば何でも聞けるような時間をつくってはどうか」という発想から生まれた学習時間です。今は、小学部高学年、中学部の子ども達が放課後に学習しています。ここでも先生達のアイデアが生きています。子ども達がより主体的に補充学習に取り組めるよう、事前に学習計画を立てて先生に提出するカードを作りました。これにより、自律した学び手の育成とともに、先生の授業準備もしやすくなりました。この放課後補充学習。一見すると、オンライン学習塾のようにも見えます。日本人学校は、学校教育法第1条に定められている学校ではありません。そのため、本校と通学校の二つの学校に在籍でき、両方から教育サービスの提供が受けられるのです。この二重在籍のメリットを使って、昼間は最寄りの学校に通学し、放課後は日本人学校の先生の学習サポートを受けることができます。

また、オンライン集会も行っています。学校は社会性を育てる場所であり、子ども同士のつながりは不可欠です。先日の集会では、全国各地からオンラインでつながり、近況報告をしました。画面上ですが、久しぶりに出会い、みんないい笑顔でした。後半は、ゲーム。「酸っぱい食べ物と言えば・・」というお題が出たら、自分が好きなものを書くのではなく、みんなが書きそうなものを書き、より多くの子が書いているものが正解という連想ゲーム。それぞれの回答を見て、「えーっ、なんで」「やったぁ」と声を上げていました。いずれ、このゲームコーナーも子ども達に任せられたらと思います。

さらに、来週水曜日、オンライン保護者茶話会を実施することにしました。もともと年数回開催する計画を立てていましたが、こういう事態ですのでオンライン開催にし、茶話会のテーマも学校行事にしています。この会に、たくさんの保護者の方々に参加してもらい、忌憚のないご意見をいただきたいと考えています。

以上、今行っている教育活動を紹介しました。「もっと、こんなことをしてほしい」「この部分を充実させてほしい」など、ご意見がありましたら、お寄せください。チームテヘランとして、できることをさせていただきます。

 

テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ

がっこうのじゅぎょうでわからないことがあれば、がっこうにかえってからおんらいんで、せんせいにきいてみてください。わかりやすくこたえてくれますよ。

校長室から『逆境になって問われる学校の力 その2~現在の教育活動~』

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