校長室から『子どもも先生も職員も力を発揮した1年~修了式と離任式を終えて~』

卒業証書授与式翌日、本年度の教育課程を終える修了式を行いました。私は、この1年間、子ども達には、儀式や朝会の場で、自ら考え、判断し、行動する大切さを話してきました。その力はこれからの社会で一番必要になってくると思いますが、年度当初、本校の子ども達にはまだ十分ではないと感じたからです。海外生活という環境では、子ども達は真っ先に守られる存在であり、そのことを否定するものではありません。しかしそれが時には気にかけられ過ぎたり、手をかけ過ぎたりすることで、少しずつ自分らしく、自分の判断で行動することができにくくなっているように感じました。その一つの例は、宿題や課題が与えられないとしないなどの学習習慣です。このことは、後々ボディブローのように効いてきます。“自分でやりきる力”は、高校、大学、そして社会人になるほど必要であり、少年期から身に付けさせたい力です。

修了式では、そんな1年間の講話をもとに、1年間を振り返らせました。子ども達にとって、一人で考えたり、行動したりすることに、不安も多かったことでしょう。しかし、この1年間で随分と成長したように思います。例えば、今年度はオンラインでの他国との交流がたくさんありましたが、最初は発表する内容について先生のアドバイスがたくさん入っていたでしょう。しかし、年度後半になると、自分達で面白いアイデアを出し合い、脚本を書き、ビデオをつくっていました。国語では、学習計画を自分で立てさせることをしましたが、最後の単元などは時間配分も学習構成もしっかりしたものを作っていました。子ども達は、一旦任せてみると、素晴らしい力を発揮します。もちろん、失敗や自身との葛藤、他者との摩擦もあったと思いまずが、いずれも成長には必要な糧です。本当によく頑張り、成長が見られた1年間でした。

そして、修了式後には、離任式を行いました。今年度は3名の先生が帰国いたしました。それぞれの先生からご挨拶してもらい、子ども達からも感謝の作文が読み上げられました。3年間一緒だった子は感極まって泣きながらお礼とお別れの言葉を伝えていましたが、家族的な人間関係になる本校の離任式は、一層寂しさが漂う儀式でした。また、警備員、運転手も退職しました。二人には、私から感謝状を贈りました。

そんな先生、現地スッタフは、この1年間、子ども達のためによく尽力しました。イランであるが故、段取りよく話が進まないことは多くありました。運動会の会場が5日前になって突然キャンセルされたり、事前に決めたことが当日は違う形で進められたり、了承してもらったことが直前で拒否されたり。そんなことが毎月のようにありましたが、そうした状況でも何とか子ども達の教育には支障が出ないようにと、今できることを懸命にすることで対処してきました。終わってみれば笑い話になるのですが、逆境や見通しが立たない中でも平然とやりきることができる、素晴らしい先生、スタッフだと思います。

この1年間、子ども達、先生、現地スタッフは、それぞれの持ち場で十分、力を発揮しました。困難に直面した時、ある職員が「これがイラン。これが外国。(困難を)楽しみましょう」と話してくれました。そんな気持ちになれたのは、保護者の励ましや運営委員会の支援、アドバイスがあるからです。それがなければ、困難や緊急事態になると、他人の顔色を窺ってひ弱になってしまいます。まさに、保護者と運営委員会の下支えという土台の上で、子ども達、先生、職員は一生懸命になれました。

感謝しかありません。ありがとうございました。そして、来年度もよろしくお願いいたします。

テヘラン日本人学校で学ぶ子どもたちへ

1ねんかん、よくがんばりましたね。できなかったことができるようになるって、すごいことです。そのためにせんせいやおうちのひとはおうえんするけど、さいごはじぶんのちからです。だから、あなたがさいごまでがんばったから、できるようになったのです。

校長室から『子どもも先生も職員も力を発揮した1年~修了式と離任式を終えて~』

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